「では、今から部屋割りをします。ちなみに部屋は303号室から306号室までです。」

七緒の素っ気ない声が響く。

この人はもっと感情を入れて話せないのだろうか。あたしは時々そう思う。
(まあ、うちの日番谷隊長もそうなんだけどね。)

「はあい!質問!」

あたしはすかさず聞く。

「なんでしょうか」
「9人いるじゃないの。二人部屋だから足りないよ!」
「やちる会長は私たちのくじびきが終わった後、どこかの部屋に詰め込みます。」

そういうもんなの?

「ほかに質問は」

七緒は辺りを見渡す。
だからもっと感情を込めてって。

「では、ここからくじを引いて下さい。」


くじはこうなった
303:伊勢七緒&有沢たつき
304:松本乱菊&井上織姫
305:虎徹清音&涅ネム
306:虎徹勇音&砕蜂


最後の二組はやりにくいわよね。悲惨なものだわ、虎徹姉妹も。

そこで問題が出た。やちるをどうするか。

「どうしますか、やちる会長。」

おい、七緒、やちるに聞くんじゃない!この子に聞いたらろくなことに成らないじゃないの。

「うーん、えっとねえ」

ここは一つ、祈るしかないわね。あたしは別にどうでもいいけど。

「ソイソイのところ!」

ええ!まさか砕蜂隊長のとこ?!でもこれで険悪ムードはなくなるわ。ナイスやちる!

「では部屋も決まったところで、7時の夕食まで自由行動です。」
「また~!」

あたしがブーイングする。アクティビティとかないの?

「今日はスキーで疲れているでしょうから、ゆっくりとお休みください。アクティビティは明日からとなります。」

完全に心読まれてるわ、この人に。

「ちなみに私は心など読めません。」

そういいながら読んだじゃない、今。
恐ろしき七緒。


さて、荷物もおいたところで、各部屋の実況放送をします。

303号室
「伊勢七緒です。よろしく。」
「有沢たつきです。よろしくお願いします。」

淡々と挨拶を交わした後、各自で自分のことを始めた。
まあ、仕方ないね。この関係に進展があるといいけど。

304号室

あたし達の部屋です!
いつもの通り元気で変わったことないから報道しなくていいよね。
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305室
「涅副隊長、よろしくお願いします。」

清音がぎこちなく言った。
それもそうだよね。十二番隊に慣れている人そういないもんね。それよりあのマッドサイエンティストのいる隊と関わった時点であなたもどうかしているわ。
この部屋もムードが暗いわね。

「あの、涅副隊長、」

清音が口を開ける。

「下に温泉があるそうですから、行きますか?」
「では、せっかくですから、行きましょう。」

二人は温泉に行って、和やかに時間を過ごしたのだ。

306号室
「あの、砕蜂隊長、よろしくお願いします。」

姉妹で言うこと似てるのね。

「ああ」

ああって何ですか。いくら隊長でも挨拶はして下さい!うちの隊長じゃあるまいし。
あたしは思わず突っ込みたかったが、場が違うっていうか、砕蜂隊長の殺気を感じそうだったのでやめた。
(うちの隊長が挨拶できないわけじゃないけどね)
何か思うけど、日番谷隊長と砕蜂隊長って仲悪いのに性格は似てるね。

話を戻して、何故さっきからやちるが何も言わないか説明しよう。
普段なら、一番元気で、一番しゃべって、一番迷惑をかける‘三番’のやちるはまだ雪だるま事件から立ち直っていないのだろうか。
いえいえ、そんなことはない。もうそんなことはきれいさっぱり忘れているはずだから。
やちるは真っ先に織姫から画用紙をもらい、絵を描くことに熱中していた。描いた絵のとなりに下手な字で名前を書いているのがなんともほほえましかった。

しかし。

「これが、黒猫の夜一さん!」

と黒いかたまりを誇らしげに砕蜂隊長に見せた時、やちるは砕蜂隊長の逆鱗に触れてしまった。

「夜一様を侮辱するな!」

あたしはこの戦いに関わらないように、ドアを閉めた。
果たしてこの部屋の人達、二日後に生きて帰れるか。
お祈りをしよう。

 

 

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