こんにちは。そろそろこのスキー旅行も終盤に近くなって、もう夜には戻るのよ。わたしはもう一刻でも早く浮竹隊長に会いたいよ~。仙太郎はがさつなんだから何かあったら

 

でもたまにはこうやって、みんなで一緒に遊びに来るのもいいよね。少ししか経ってないのに何か名残惜しくなってしまうな

 

「ねぇねぇ、清音ちゃん。そこに立ってると狙われやすいよ。」

はっ。井上さんが雪の中で見ると一段と暖かい杏色の髪を揺らし、わたしに囁く。

 

はぁ、やっぱり雪合戦をやりながら頭を使うのは無理みたい。ちょっと待ってて。

 

約三十分後

「やめ!勝者はチビ組とする!」

「だれがチビ組ですかい!」

 

いわゆる『チビ組』全員が反抗の歌を大合唱した。

 

「うう~、悔しい。身長でグループを決めた人、誰よ?」

はい、あなたですよ乱菊さん。

 

暖房で軽く二十度は行く室内に入りながらも、乱菊さんは唇をかみ締めている。強く噛みすぎたせいか、若干涙目だ。

 

運動して火照った身体にこの蒸し暑い室内がいっそう汗を誘い出す。上着を脱ぎながら、自室へ向かう。この後は、温泉でゆっくりして、帰る予定だ。汗ばんだ全身が温泉の温かい水に浸かるのはさぞかし気持ちいいだろうなと思い浮かべながら、今はベトベトして湿っている服を脱ぐことに専念した。

 

「はぁ、癒される~」

「ねー、なんか水がヌルヌルしてるよ!」

「この温泉の種類は単純温泉と呼ばれるもので、特にここの温泉はアルカリ性単純温泉です。アルカリ性単純温泉は肌がすべすべ感じられるのが特徴です。」

「つまり、どういう意味?」

「何でもいいから、気持ちよければいいのよ。」

「つまり柔らかい肌触りで肌に刺激が少ないということだ。」

 

湯船に浸かって、湯気で隣の人の顔が見えないというのもなかなか楽しい。室内でこだまする会話と一緒にシャワーの水が勢いよく流れる音が交じって、何かテキトーだけど聞いてて心地いい音楽みたい。

 

浴衣はフロントで借りたんだけど、やっぱり、

「柄が多いのがいいわよね~。」

「うんうん。色もいっぱい揃ってるし。」

「この大人数でみんな違う色ってある意味すごいよね。」

 

確かにみんな色が違う。柄が同じかどうかは分からないけど、これ正に十人十色だよね。現に九人だけど。

 

わたしは朝顔の花柄の緋色の浴衣に山吹色の帯を締めている。

勇音は藤色の浴衣で、菫があることが新鮮だ。

やちるちゃんはやっぱり髪の毛に似合う淡いピンクの浴衣に大きく向日葵が描かれてるのがかわいらしい。

乱菊さんは江戸紫の生地に所々(乱菊さんだから?)菊があって、綺麗、というよりはかっこいいの範囲に入る。

砕蜂隊長は、単色の黄色。

ネムさんは言うのは悪いけど、これまた堅苦しい死覇装だ。何故?せっかくだから浴衣で楽しみましょうよ涅副隊長。でも涅副隊長はやっぱり死覇装が一番しっくりくるからパス。

伊勢副隊長は、鶸色(ひわいろ)(黄緑っぽい)の浴衣を身に包み、これまた伊勢副隊長にしては珍しい大きな白百合の花がたくさんある。

井上さんは、珊瑚色に撫子がよく似合う。

有沢さんは、瑠璃色の浴衣だ。

 

とまぁ、こんな感じでわたしは一人ひとりを見渡した。

とにかくみんな違っていて面白い。

先にお昼を食べて、それから写真をとろうとわたし達は食堂で向かった。

 

 

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